加藤典洋『小説の未来』
- 作者: 加藤典洋
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2004/01/17
- メディア: 単行本
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明治学院大学での文学演習の講義ノートを下書きにした、授業スタイルの文学評論。
文学理論などはまったく知らない理系の大学生としては、同著者の『村上春樹イエローページ』と取上げている作家作品が違うだけで、手法の違いはよくわからない。
テクスト理論?ってなに?作家と作品は別物だよってことを前提にして分析しますってことかしら。でもそれだけじゃ現代小説を論じる枠組みとしては不適当だから、作家の意見が作品に対して絶対的ではないということは原則としつつも、作品と作家とをあえて関連させて分析したり論じたりしてみましたってかんじなのかなぁ。
取り上げられた作品の中で 既読であったのは4冊。
江國香織『流しの下の骨』
川上弘美『センセイの鞄』
村上春樹『スプートニクの恋人』
吉本ばなな『アムリタ』
ほかの作品は読んだことのあるのが3冊。
村上龍 『希望の国のエクソダス』
大江健三郎『取り替え子』
保坂和志『季節の記憶』
自分が未読だったの作家の作品が3作。
町田康 『くっすん大黒』
阿部和重『ニッポニアニッポン』
高橋源一郎『日本文学盛衰史』
この3冊はエッセイやら書評やらあちこちで何度もみかけていたがあらすじ知っちゃったし読まずに済ませてしまいそう。読む本がなくなったら読もうと思う。どれもおもしろそう。
初めて著者の存在をしったのが2人。
伊藤比呂美『ラニーニャ』
金井美恵子『噂の娘』
「読める」文芸評論というのが絶滅危惧種であるらしいので、素人としてはこういう本があるのは結構嬉しいなぁとは思います。ほかの大学の先生もこういうのかいてくれるといろいろ比べられておもしろいと思うんですけれど。それが一冊になって文庫本になって出ているとなおありがたいです。精神科医とか、心理療法のひとの評論はアマチュアが「読める」ところまで行ってないというか、心理学や医学の専門的な知識をもっていることがある程度前提というか、独りよがりなのが多い気がするんです。小説読むのにアマチュアとしては心理学的にはこうだとか、医学的にはこうだとかいちいち考えて読みたくないし。